政経倶楽部【東京】第190回例会(朝食会) 11/5 木 のご案内

日時:2020年11月5日  開会:AM 8:00~AM 10:00 (開場:AM 7:30)
会場:ルポール麹町 東京都千代田区平河町2-4-3 TEL03-3265-5365 有楽町線「麹町駅」 1番出口より徒歩3分. 有楽町線・半蔵門線 「永田町駅」 5番出口より徒歩5分.
 

「目覚めよ、日本!~ロシアに侵略されたウクライナの轍(てつ)を踏むな」

■講演 グレンコ アンドリー 氏 国際政治学者・日本を愛するウクライナ人

「目覚めよ、日本!~ロシアに侵略されたウクライナの轍(てつ)を踏むな」


【グレンコ アンドリー 氏 プロフィール】

1987年、ウクライナの首都、キエフ生まれ。33歳。
2010年から11年まで早稲田大学に語学留学。日本語能力検定試験1級合格。2012年、キエフ国立大学日本語専攻卒業。
2013年、京都大学へ留学。本居宣長を研究。
2019年3月、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程指導認定退学。
アパ日本再興財団主催第9回「真の近現代史観」懸賞論文・学生部門優秀賞(2016年)。
ウクライナ情勢、世界情勢について講演・執筆活動を行っている。
著書に『プーチン幻想』(PHP新書)、『ウクライナ人だから気づいた日本の危機』(育鵬社)、『日本を取り巻く無法国家のあしらい方』(育鵬社)。
ツイッター、ユーチューブでも日々、最新情報発信中。


●10年前、日本語語学留学。日本人教師たちから受けた不思議な3つの体験

初来日は10年前。2010年9月から2011年8月まで、日本語を学ぶため早稲田大学に留学した。まずは当時の強烈な不思議な3つの体験からお話ししたい。
第一は、ある読解の授業の時。テキストの中にたまたま昭和天皇が登場した。その時、日本人教師は、「この人はもう“死んじゃった”」と言った。私はたまたま正しい日本語を知っていたので質問した。「先生、ここは“崩御された”ではありませんか?」。先生曰く「私は皇室を敬っていないのでこの言い方で大丈夫」。「ん??なに?これ、おかしい!」と、思った。
次は、別の教師の読解の授業の時。歴史に関する文章の中に「五箇条の御誓文」が出てきた。すると先生は「御誓文の御は、評価が含まれる言葉だから、正しくは“五箇条の誓文”と言わなければならない」と言った。先生は日本人。学生は外国人……。留学したばかりの我々学生は日本の歴史のことをあまりわからなかった。なのに、自分の思想に基づいて間違った日本語を教えるのはいかがなものか。“五箇条の御誓文”というのは歴史用語だ。評価云々関係なく、純粋に、言葉として扱うべきものだろう。
3つ目はさらに強烈だ。東日本大震災後、2011年6月ごろのディスカッションの授業時。教師曰く「最近、日本が怖い。震災を克服するために団結しようという呼びかけを聞く。まるで戦前の軍国主義みたいだ。その上、国歌を歌おうと言う奴までいて、とんでもない」。さすがに私も黙っていられず「先生、国歌を歌うのはどの国でも当たり前のことではないですか?」と言った。すると教師は「あの歌は多くの人を悲しませるから歌うべきではない」と言った。唖然。「だめだ、こりゃ」と思った。


●ウクライナと似ている日本。いちばんの共通点は“平和ボケ”

留学は1年間。その途中から、日本の事情が分かってきて、ある事に気が付いた。それは、日本の現状と母国ウクライナは非常に似ているということ。
いちばんの共通点は、平和ボケ。たくさんある。例えば、隣国の指導者のきまぐれにつきあう弱腰外交。毅然とした外交を行わない。さらに、愛国者のことをナショナリスト(国粋主義者)とか、ファシストなど蔑む。
軍隊への見方もしかり。ウクライナの軍隊も、日本の自衛隊も大切にされていない。奇妙なところも似ている。それは、住んでいる国を憎みながら、なかなか祖国に帰ってくれない異民族の存在だ。ウクライナにはロシア人という異民族がいて、彼らは常にウクライナを罵倒しているが祖国ロシアに帰らない。その上、不当な特権まで要求する。それをウクライナは許している。日本も同じと思った。
以上は、2010年から2011年の語学留学時に感じたことだ。母国に帰国し、ウクライナのキエフ大学を卒業後、2013年から京都大学に入学(本居宣長研究)。それ以降、日本での生活は7年半になる。その間、2014年にウクライナでロシアとの戦争が始まった。それは残念ながら6年半ずっと続いている。死者は既に1万4000人、負傷者は何百万人にもなる。
私の心配は、これほど状況が似ている日本とウクライナは同じような結末(=隣国からの侵略)にならないか、ということだ。ウクライナの轍を踏まないために、日本はどうしたらいいのか。真剣に考えるべきだ。ウクライナの事例から学ぶべきことはたくさんある。

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