政経倶楽部第27回例会レポート

日時:2007年3月9日  開会:~ (開場:)
会場:ルポール麹町 東京都千代田区平河町2-4-3 TEL03-3265-5365 有楽町線「麹町駅」 1番出口より徒歩3分. 有楽町線・半蔵門線 「永田町駅」 5番出口より徒歩5分.
 

代表幹事挨拶・寒竹郁夫氏(デンタル・サポート株式会社代表取締役)

 先日、2月24,25日の旅行は予想以上に盛り上がった。今後も1年に1回はやりたい。出版記念パーティは6月8日の夕刻に決定した。

講演・野田佳彦氏 (衆議院議員) 『国政報告』

 予算審議は参議院に移り、衆議院ではこれから国民投票法案のゆくえなど重要法案の審議に入る。民主党としては、格差の問題を取り上げたい。

 先日『報道2001』という番組で対談相手の一人だった塩川正十郎さんからおもしろい資料をいただいた。2000年から2007年にかけて、大企業の役員報酬は800何倍くらい増えている。大きな企業は役員報酬をたっぷりとって、株主の配当を増やしているが、従業員の給料は上がらない。中小企業の労働分配率はすごく高くて、しかも役員報酬を削っているという傾向が出てきている。そういう苦労をされている中小企業のみなさん中心の会であるが、そういう会に則した、政治がどうなっているかという話を伊藤さんに、そして、中小企業政策を北神さんにお願いした

講演 伊藤惇夫氏 「与野党逆転なるか-参議院選挙の行方」

政治の構造(自民党対民主党の対立構図)
 去年、講談社から、『永田町の回転寿司はなぜ2度回らないか』という本を出した。タイトルの元になった言葉は、永田町の回転寿司は一度取りそこなったら二度とまわってこない、という言葉。誰の言葉かわからないが、永田町では知られた言葉になっている。ようするに大臣ポストであるとか、権力の座、それが目の前に来たときに躊躇していたらもう2度とまわってこない、だから目の前にきたら何がなんでもそれにとびつけ、という趣旨の言葉。安倍さんはこの言葉に乗って総理大臣になったと思う。お父様が躊躇したことによってその後病に倒れ総理の座を目前に亡くなったという経験から、なおさらという気がする。この本で触れたもう1つの言葉がある。安倍さんの大叔父に当たる佐藤栄作さんの言葉で、「チャンスは一度目でつかむな。真実の機会はまた必ずめぐってくる。それまでに自分で実力を培養しておけ」。今の安倍総理は、後者の心境ではないかと思う。もともとポスト小泉、というのは非常に損な役割。誰かワンポイントでやらせて、参議院の直前くらいに本命の安倍さんに変えるというのが一番いいシナリオだったはずだが、自民党にそういうシナリオを描ける人がいなかった。

講演 北神圭朗氏 衆議院議員 『世界にみる中小企業政策と日本版中小企業憲章の制定にむけて』

1.今回の景気回復
 景気回復はいざなぎ景気を超え、GDPの数字も2002年くらいからずっと伸びている。GDPの中身は、個人、企業、そして政府の部門とに分けられるが、これを個別にみると、問題点が浮き上がってくる。 GDPの伸びはこの5年間で8.3%。輸出は54.5%。非常に大きく伸びている。設備投資も二桁台で17.1%。個人消費は伸びているが一桁台で5.5%。住宅投資はマイナスの3.7%。つまり企業は非常にいいが、家計はそれほどでもないというのが、今回の景気回復の特徴。政府は、消費も伸びていると言うが、貯蓄率が下がっていることが問題。つまり貯蓄をとりくずして消費にまわしている。10年前の貯蓄率は10.6%。直近の数字ではこれが、6.2%まで下がっている。特に高齢者と若者が貯蓄を減らしている。高齢者が貯蓄をとりくずし、フリーターとか派遣とかニートという人たちはもともと稼ぎが少ないから貯蓄にまわす余裕がない。逆に中堅の大手企業のサラリーマンは貯蓄を増やしている。全体として戦後一番大きな下げ幅を記録している。持続的な経済成長に必要なのは内需。そのなかで一番大きな割合を占めるのが消費ということで、消費が堅調でないと国民経済全体の活力が出てこない。大企業は海外に商売を持って行けるが、中小企業はそうもいかない。小泉政権の下で公共投資が減らされ、その減らし具合と比例して地域間格差も広がった。地方では格差拡大にともなって中小企業が疲弊している。

2.政府の経済政策
 政府の対応は、小泉政権、安倍政権とも大体同じで、財政再建と極度の金融緩和。ゼロ金利、数量調整をやっている。安倍政権で新しいところはこれに加えて、成長戦略というものをうちだしたこと。小泉さんは落選をして福田元総理の下でいわゆる書生みたいなことをやったが、そのときに角福戦争などを経験して、自分の大将が田中角栄にいじめられる姿を見た。だから、彼の発想というのは、反田中派。田中派、橋本派の権力の基盤をつぶすというのが彼の一貫した政治姿勢。公共事業の削減等、基本的に大蔵省の政策と似ている。 増税と予算の削減は景気にいい影響を与えない。その代わりに、金融緩和を日銀に押し付け、インフレを起こさせて、日銀に景気の責任を持たせた。そういった中で極度の金融緩和、ゼロ金利もやった。

 安倍さんは、成長なくして財政再建なし、と言って出てきたが、安倍さんの考えのほうが正しい。大蔵省的な、増税か歳出削減だけで、財政再建を果たした例というのは古今東西にない。経済成長に伴う自然増収が財政再建にはたす貢献度は大きい。アメリカの80年90年の財政再建の一番大きな要因は経済成長。日本の政策は、未だにこの財政再建にしばられている。

 安倍政権の経済成長戦略としてどんなものが出てくるかに注目していたが、中身をみると従来型の政策を衣替えして新しい名前をつけたり、あるいは条件をもう少し厳しくした程度。3000億円くらいの規模では不十分。 中小企業対策にいたっては力を入れるといいながら、去年に比べて95億円くらいしか、増えていない。もともとそんなに高い水準ではないし、経済成長戦略といいながら、過去20年くらいの予算規模から言えばそんなに変わっていない。...

※続きは会員専用ページでご覧いただけます。